理工学部生のメモ

大学生の気ままなメモです。書いてあることを真に受けないでください

自己回帰モデル

目次

  1. 自己相関係数
  2. 定常性
  3. 自己回帰モデル

自己相関係数

記述統計おいて2つの変量の間の相関関係を表す指標である相関係数なるものがあるが、時系列データにおいて過去のデータと今のデータの間の相関関係を示すものを自己相関係数といい、以下のように定義される。

自己相関係数=
\frac{\displaystyle\sum_{t=h+1}^n(r_t-\bar{r})(r_{t-h}-\bar{r})}{\displaystyle\sum_{t=1}^n(r_t-\bar{r})^2}

ただし、\bar{r}=\frac{1}{n}\displaystyle\sum_{t=1}^nr_tであり、またhはラグ数と呼び比較する2つの時系列データの時間の差を表す。基本的にhが大きくなればなるほど自己相関係数の値は小さくなる。

ラグ数が2のときの関係はラグ数1の関係を二つつなげたものだと考えることができる(推移律)。しかし推移律ではなく、2つの離れたデータの直接的な関係を知りたいときは偏自己相関係数を使う。


定常性

ある確率変数列{R_1,R_2,\cdots,R_n}において

  1. E(R_t)=a
  2. V(R_t)=\gamma_0
  3. Cov(R_t,R_{t-h})=\gamma_h

をみたすようなときこの確率変数列は定常性を持つという。平均も分散も一定で、自己共分散はラグhのみに依存する。特に平均0、分散\sigma^2、共分散0のときの確率変数列を白色雑音(ホワイトノイズ)という。


自己回帰モデル

ある確率変数列:{R_1,R_2,\cdots,R_n}においてR_tR_{t-1}に何らかの関係を見いだせるときその関係性を以下のような回帰モデルで表すことができる。

R_t=\mu+\phi_1R_{t-1}+\epsilon_t

このモデルを自己回帰モデルといい、ラグは1であるのでAR(1)と表す。AR(1)モデルの構成要素は

  • 過去の情報をもとに確定的に決まる部分:\mu+\phi_1R_{t-1}
  • 過去の情報とは無関係に確率的に決まる部分:\epsilon_t

に分けられる。新しい情報は\epsilon_tのみであるので、この\epsilon_tイノベーションと呼ぶこともある。

モデルの推定

実際の分析においてAR(1)モデルのパラメーターである

  1. 自己回帰係数\phi_1
  2. 切片\mu
  3. イノベーションの分散\sigma^2

を推定する必要がある。推定法の1つとしては通常の単回帰モデルの推定と同様に最小二乗法がよく使われる。